平成14年10月27日
宮城スタジアム・今後の交通アクセス向上の指針
T.10/20 ベガルタ戦の反省点 スタジアム外の状況
1.時間的経緯

  • 集客見込み数:45,000人
  • 警備員数:518名、係員:297名、ボランティア:100名程度

  • 9:00 警戒開始
    利府駅からの臨時シャトルバス運行開始 運行時間=約10分(注:シャトルバス数30台、乗り合いバスタイプ)
  • 10:00頃より、総合運動公園利府停車場線混雑始まる
     シャトルバスの運行時間は20分程度となる
  • 11:00頃、総合運動公園利府停車場線渋滞状態となる
     シャトルバスの運行時間は30〜40分程度となる
  • 11:00頃、菅谷台団地内に通過車両多数。一部が駐車状況。塩竈署に連絡して、警戒開始。
  • 12:30頃、青葉台地区渋滞状態。青葉台団地内に迷惑駐車車両。同じく塩竈署による警戒開始。神谷沢方面からの岩切停車場線も渋滞状態となる。
  • 13:00頃、渋滞状況変わらず。
  • 13:30頃、混雑緩和。菅谷台団地内の迷惑駐車車両35台以上確認。青葉台団地、入菅谷地区にも迷惑駐車車両を30台以上確認。そのうちほとんどが道路交通法上の違法駐車。
  • (注:塩竈署による違法駐車摘発を行わないのは台数が多いことと取り締まると逆に渋滞、混雑を招くという判断があること。私有地内の取り締まりは民事不介入の原則からできないことなどから)
  • 14:40頃、迎え車多数。主に利府駅方面から。菅谷台団地内に多数停車。排除のための自主規制開始。
  • 15:00頃、総合運動公園利府停車場線混雑始まる。停車車両は菅谷台団地内に50台以上確認。主要道路上にも停車車両が多く存在し、渋滞の原因となっている。
  • 15:30頃、総合運動公園利府停車場線渋滞。シャトルバス運行時間は40〜50分。ジャスコで止まるタクシー多数。多数の歩行者確認。1/3程度がジャスコ、MOVIX、役場の駐車場へ分散。
  • 17:30頃、総合運動公園利府停車場線渋滞状況緩和に向かう。シャトルバス運行時間は50〜60分。
  • 18:00頃、利府駅行シャトルバス最終便到着(運行時間=50分)
  • 19:00頃、総合運動公園利府停車場線通常時の状況になる。警戒解除
2.考え方と反省点
  • (1) ジュビロ戦運営については、地元や運営側は試合終了後2時間以内に全員帰途に着く、を目標にした。そのための輸送・警備計画の話し合いは2度、深夜まで及んだ。交通規制を考えないわけではなかったが、そのカードを毎回抜いていいものかどうか、あるいは何とか周辺の日常生活に影響をあまり及ぼさない状況で、きちんとした運営ができないか、また、現在の持ち駒(駐車場、道路、JR、地下鉄)で何とかならないか、が出発点だった。これに採算性を加えて考えた。つまり、ただでさえ、3億円の維持費がかかる放蕩息子の宮城スタジアムであるので、ワールドカップのときのような採算度外視のことはできない。また、周辺住民の日常生活とプライバシーを軽視するような大規模な交通規制をしくことはできない。
  • (2)今回見送ったのは岩切発着。シャトルバスをおく広場がないこと、駅舎が小さく人をさばけないこと、などがその理由である。同様に多賀城を見送ったのは、駅前広場の小ささであた。SMAPのときには、しらかし台IC→仙台港北IC経由で結んだのだが、駅前広場の小ささから、シャトルバス台数は増やせず、2000人規模の輸送にとどまった。
  • (3)ジュビロ戦では、以前からあるルート、仙台東口(観光バスタイプ)、泉中央・利府(乗り合いバスタイプ)のオーソドックスな手法となった。仙台東口ルートは多くの人員をさばけない宿命(観光バス、1台のバスの複数利用は無理)があるため、必然、泉中央、利府に頼らざるを得なかった。SMAP時の経験から利府駅バス渋滞は迎え車に依るところが大きいと考えていたのだが、通常ベガルタ戦では迎え車は多くないので、過小評価したきらいがあった。また、ジャスコに向かうタクシーや一般車があんなにたくさんいるとは思いもよらかなかった。ジャスコに駐車した一般車が多かったことが大きな理由だろう(ジャスコまでタクシーで帰った)。また、雨の影響で送り車はできるだけ近くに、駐車券を持たない車もできるだけ近くに、という意識が働き、往路も酷い渋滞となった。結局、
    • 1)利府駅シャトルバスは30台を投入しても機能しなかった。これが帰路のグランディ21バスターミナルで待たせた最大の原因。
    • 2)泉中央シャトルバスの発着体制が甘かった。載せ方の問題があり、うまくさばけなかった。これはワールドカップ以来指摘されているのですが、北側にバス待ちのための大きな空間がないためである。第6駐車場では狭すぎた。
    • 3)事前広報をかなりした(つもり)のに、こちらの思い通りに一般車が北側出口(沢乙口、泉口)から退出しなかった。菅谷台団地方面(通常のグランディ21出入り口)に殺到した。
    • 4)連絡ミスで泉口の一般車出場許可が遅れた。これは警備体制のミス。
    • 5)今回初めて宮城スタジアム案内図を配布したのだが、これがわかりづらいものだった。実は帰りの方法を示したものだったのだが、その意図が必ずしも伝わらなかった。
    • 6)延長戦に突入すると、いつ試合が終わるかわからないので、いつでも大丈夫な体制になっていたはずだが、対処がやや甘く、迎え車が各道路上に停車したりして輸送計画を狂わせたり、して、対策が後手後手にまわった。
  • (4)団地内のカラーコーン規制が遅かった。菅谷台団地内のカラーコーン規制については、団地入口で混雑状況に合わせて行うこととなっていた。10時半にはすでに渋滞状態だったが、規制せず。規制開始が遅すぎた。現場は臨機応変でやってもらわないとダメ。違法駐車予備軍が大量に入り込み、その車を排除するのは困難。入口で規制すれば、その必要はない。
  • (5)繰り返しになるが、迎え車渋滞があった。延長戦に入ったこともあり、菅谷台団地内は迎え車であふれかえった。15:00現在、50台以上を確認。自主規制でも効果はない。やはり入口で規制しなかったため。15:20以降、この迎え車全部が、総合運動公園利府停車場線に入り込み渋滞を増長させた。
  • (6)利府駅−グランディ21道路渋滞が全てを狂わせた。この路線の渋滞によりシャトルバス計画が根本から崩れた。30台のバスを回す予定だったが予想以上の渋滞で回せず多くの観客がグランディ21内に取り残された。渋滞の原因は下記の通り。
    A.ジャスコ利用者
     ジャスコの駐車場利用者のタクシー利用、ジャスコに寄ってから帰る人がこの路線を使ったため。ジャスコやMOVIX等の大型商用施設の駐車場利用者への抜本的な対策が必要。
    B.利府塩釜IC利用車
     三陸自動車道利府塩釜IC利用車がこの路線を使った。仙台方面なら、しらかし台インター利用のため、沢乙口。石巻方面なら利府中IC利用のため、菅谷台三叉路を左折指示をだすべきだった。マップが必要か。
    C.迎え車
     迎え車の多くがこの路線を利用した。ジャスコ経由あるいは上記利府塩釜IC利用者と重複するだろうが、迎え車の対策は今後の宮城スタジアム開催を考慮したときに重要課題。
    D.下記の歩行者
  • (7)歩行者対策
     歩行者優先のため各所の交差点で横断する歩行者待ちの右左折車が直進車の邪魔をして渋滞を促進させた。また、歩行者が菅谷台団地内を多数歩くが、迎え車と交錯して軽い事故を起こしていた。極めて危険な状況であり、歩行者に対しての情報提供も必要。
3.駐車場について
  • (1)3,500台の車両が全てグランディ21から出たのは、試合終了後2時間半程度。泉口開放が1時間遅れたというミスがあったが、3箇所の出口で2時間半はかかりすぎである。
  • (2)出口の外は比較的スムーズであった。特に沢乙口→しらかし台ICについては試合終了後1時間半後はほとんど渋滞無し。一方、菅谷台三叉路から出た車も試合終了後1時間半以降は、利府駅方面を除いてスムーズだった。
  • (3)結局、グランディ21内からの車のはけが決定的に悪い。沢乙口からは右折のみ、泉口からは左折のみ、などの策をとったとしても、全ての車が出るまで、2時間弱はかかることを意味している。
  • (4)石積トンネル以北の渋滞は、東北学院大学方面への分散化をはかることで解消可能であり、石積トンネル北出口での誘導員が不可欠。

    上図のように、石積トンネル北すぐの交差点を左折すれば、国道4号線バイパスに比較的スムーズに出られる。
4.シャトルバスについて
  • (1)利府駅発着シャトルバスは沿線の渋滞で麻痺状態となった。一般車の排除が必要不可欠である。一般送迎車、ジャスコ等大規模商業施設とグランディ21往復タクシーなどは予め計画されていない車両であり、これをいかに少なくするかがポイントとなる。
  • (2)一方、泉中央発のシャトルバスは極めてスムーズ。ただし、帰路は上記に述べたように第一駐車場における利府駅行シャトルバスのような機能的な乗車手法がとれなかった。スペースと係員に依存した。
  • (3)今回見送った岩切駅だが、復路では積極的に利府駅行シャトルバスの経路変更路線として使用するべきであった(詳細下記)。
U.今後への指針
1.ポイント
1)アクセス手段の多様化
岩切の利用(詳細下記)
2)しらかし台IC利用
シャトルバスや一般乗用車の帰路の確保。長期的にはグランディ21専用入出上口の新設→入退場の効率化
3)石積トンネル北の誘導
シャトルバスや一般乗用車の帰路の確保。東北学院大学方面への誘導。泉方面経由の経路多様化
4)駐車場の是非
思い切ってグランディ内の駐車場をなしとする策は可能か。全てを公共交通機関とする。その場合は近隣住宅地や大型商業施設への不法駐車の徹底取り締まりが必要か。
5)送迎車両対策
どこかに送迎車専用ゾーンが必要。第一駐車場の高効率利用。
2.岩切駅の積極利用(帰路のみ)

 利府駅のバイパス駅として利用すべき。
国体のシャトルバス発着所として機能した岩切駅。これを使わない手はない。Aは岩切駅前。あまり広くないロータリーだが、多賀城駅よりは使いやすい。Bは利府街道と交差する2車線道路で、Cから岩切駅までは1車線となるので、事実上2車線の内の左側は使われていない。上図のようにシャトルバスが利府街道から入り、UターンしてB付近で人をおろし、また帰っていくというのは十分に可能。Cは岩切方面を見た写真。ここから岩切駅までは200m程度。泉中央のシャトルバス発着場に比べれば格段に駅に近い。
3.駐車台数の制限とP&BRの活用
 車のはける時間との兼ね合いから、グランディ21内の駐車台数は3,000台以下として、県サッカー場、新富谷ガーデンシティ、仙台港などに駐車場を用意、そこからのパークアンドバスライドが効率的だろう。が対費用効果を検討する必要がある。
4.グランディ21内の整備
駐車場の照明の増設
現状では夕方以降の帰りにおいて非常に暗い部分があって極めて危険である。特に子供連れにはつらい帰りとなってしまう。
第一駐車場進入口
ワールドカップ開催時に仮設された進入口を確保して、第一駐車場の出入りを簡単する工夫が必要。公園部利用者にも非常に便利であろう。