日韓代表OB戦雑感
 前日までの雨が嘘のように晴れ上がり、絶好の天候となった、6月29日(日)。
 グランディ・21宮城スタジアムでは、2002FIFAワールドカップTM宮城開催1周年記念事業の一環として「日韓代表OB戦」が開催された。梅雨の中休み。雨の宮城スタジアムという汚名返上の、絶好の天気である。
 それなのに、主催者側発表2万人。

ところが、上の写真を見てわかるように、実際は9,000人〜10,000人程度である。だから、駐車場やシャトルバスの混乱は全くなかったし、長く列を作ったタクシーも暇をもてあましていた。
 では、なぜ人が来なかったのだろう。
 このイベントが事実上失敗した理由を考えてみよう。理由はいろいろと考えられそうだが、最も大きいのは、
(1) こういうイベントを行うのなら、本物の日本代表級でないと、もはや人は集まらないのである。
  4/29,5/24のベガルタ戦を振り返ってみよう。どちらも天候は良く、ジュビロ磐田、鹿島アントラーズという好カードであった。
が、観客動員数は33,000人程度。満員にはほど遠い状況であった。宮城スタジアム嫌いという層を考えても昨年の満員状態をかなり下回るのは不思議である。
これは、昨年は宮城スタジアムを一目みたい人たちが多く押し寄せたが、今年はそれがなく、むしろ仙台スタジアムとの比較から宮城スタジアムを敬遠したファン層の存在があったからだと思われる。
すなわち、宮城スタジアム自身にはもはや集客能力はないのである。
ベガルタという強いファン、サポーター層を抱えながら、33,000人の集客であるということは、ベガルタの試合でなければ、彼らは来ない、ということを示している。つまり、6/29の日韓代表OB戦では来ない、のである。
さらに、キリンカップでの日本代表戦開催では、冷たい雨の中、多くの人が来て、不満を言いながら帰っていった。
だが、日本代表なら、どこでも行くサポーター層は確かに存在するのだ。それらが日本代表を支えているのである。彼らは代表と同じ空気を吸い、代表と同じ場所にいたいから行くのである。
こういう層を取り込まないと、サッカーではもはや満員にはできない、ということを示している。
もっと言えば、6/29の日韓代表OB戦の結果、宮城スタジアムの49,000人という観客席は、日本代表戦が来ない限り、無駄なのである
(2) 人を集めるイベントは飽きられている
  鹿島では、鹿島アントラーズの日本人対外国人の試合があって盛り上がっていた。鹿島アントラーズファン/サポーターという厚い支持層を取り込んだので、多くの集客力を得たのだ。
一方、宮城ではどうか。
鹿島のような集客力は上述したように、日韓代表OB戦ではなかったのだ。当たり前と言えば当たり前ではあるが、そもそも宮城県に日本代表戦を絶対に見に行くという人はどの程度いるのだろうか。ベガルタのファン層ではなく、日本代表ファン層である。
それが仮に50,000人居たとしても、往年の名選手を知っているファン層はどの程度いるのか。
ここが計算違いだったようだ。
毎月のピッチ開放などを見ていると、宮城スタジアムは既に「開かれたスタジアム」として認知されるに至っている。
だから、スタジアムは憧れの存在ではなく、自分たちのものになりつつある。
その自分たちのスタジアムで、イベントが行われても、興味がなければ行かないだけなのだ。
もっといえば、美術館で私の好きなモネが来れば行くし、日頃は行かない、ということと、同じ。
一方で、自分たちが参加し、自分たちが何かやれるイベントには参加する傾向は強くなってきているが、それでも49,000人が集まるかというとそうでもないし、第一そんなに集まっても困る。
人を集めるイベントではなく、人が参加するイベントにしないと意味がないのである。
以上のように、すでにイベント発信型の記念行事は飽きられていると思っていい。マスターベーションに近い前日のパネルディスカッションだって、何も1周年で行うものかどうか極めて疑問だ。
どうして1周年なのか、を考えると、ああいうテーマにはならない。この1年何をやって、何をやらなかったのか。そういう視点でのみ考えるべきで、ワールドカップをやった損得は1年前に考えたはずで、いまさらやってもカビが生えるだけである。
ピッチ開放、スタジアム見学に加えて昨日ボランティア独自の事業=フェイスペインティング、芝グッズへの人気は、イベント開催よりも、自分たちがそこに入っていこうという、イベント参加への意思がはっきりと見えるのだ。
こういうマーケティングをすることもなく、安易なイベント開催をした宮城県はもちろん、事前に何も指摘できなかった私自身も深く反省したい。

その他
無料のイベントなのに、有料の駐車場。ところが無料の駐車場も混在したり、グランディ・21利用促進協議会で決めたはずのシャトルバス位置も一方的に変えられた。全ては宮城県のわがまま。呆れるばかりなり。
体育館のコンサートなどでもイベント業者は忠実に守っているのに、で、ある。自分で決めて自分で破るのだから、何も言うことはない。
イベント業者は今後守らなくてもいいようだ。コンサートでは無料の駐車場を強要されているが、県が先頭にたって無料のイベントでも有料の駐車場にしたのだから、がんがん駐車料金をとりましょう!