提言=災害時の防災中枢機能としてのグランディ・21

 ここ30年以内に90%以上の非常に高い確率で起こると言われる宮城県沖地震に備えることは、急務の課題と言われている(詳細は県危機対策課HP参照)。
 かかる災害発生時において県及び防災関係機関が円滑に活動するためには、これらの機関の防災中枢機能の確保が前提となることから、それぞれの機関の防災中枢機能を果たす施設、設備等について、安全性の確保及び充実を図ることが望まれるが、仮に仙台市街地が壊滅的打撃を受けた場合に、その中枢機能の速やかな移転と設置が最も重要である。
 つまり、代替機能施設を予め定めておく必要があり、中枢機能の二重化をすすめることは非常に重要である。その二重化には当然宮城県が構築しているMIDORI(総合防災情報システム)の円滑な運用も含んでいるため、代替機能施設の候補はかなり絞られてしまう。では、県庁舎に代わる中枢機能施設に求められる資質とは何か、考えてみよう。
  1. MIDORI(総合防災情報システム)が運用できること
  2. ヘリコプター、緊急車両の発進、通行が妨害なく行えること
  3. 地震に比較的強い岩盤に建設されたかなり広い空間を持つこと
  4. 知事など防災中枢からの指令・指揮系統が災害発生後あまり時間をおかずに立ち上げることができること
 私はこれらを見るとグランディ・21以外に代替中枢機能を有する施設はない、と考える。
 では、一つ一つ検証しよう。

1.MIDORI(総合防災情報システム)が運用できること

 みやぎ国体の開会式および閉会式では県内のCATV各社相互接続によるギガビットイーサーネットを利用したインターネット映像配信実験が行われ、見事に成功した。県庁1階でもインターネット中継画像が見られた。このネットワーク技術は今でも有効に利用できるわけで、すでにグランディ・21と宮城県庁は高速通信網で結ばれているといっても過言ではない。
 情報とネットワークの二重化が可能であることから、MIDORIの運用も全く問題ないと言えよう。
関連URL:http://web.tia.ad.jp/kokutai2001/kshpsr.pdf, 国体等映像発信実験事業報告書

2.ヘリコプター、緊急車両の発進、通行が妨害なく行えること

 ワールドカップでは既に緊急時などのヘリコプター運行などの実践的訓練を行っており、ヘリコプターの運用は十分に可能である。付近には仙台北部道路や石積トンネルなど、道路整備も進み、緊急車両の円滑な運行が可能である。従って、この面では全く心配ない。
関連URL:スポニチによる宮城スタジアム訓練の様子, 讀賣新聞による宮城スタジアム訓練の様子

3.地震に比較的強い岩盤に建設されたかなり広い空間を持つこと

 長町−利府断層の液状化危険度分布図を見ると、グランディ・21付近は断層の上側の硬い岩盤であることから、液状化危険はないと予測されているようだ。加えて、仮に長町−利府断層帯由来の地震が起こっても、グランディ・21付近の震度は最大でも6弱程度と予想されているようだ。グランディ・21の面積は146.1万m2に及ぶ。これは東京ディズニーランド(80万m2)と東京ディズニーシー(71万m2)を合わせたくらいの大きさ。これに隣接する「県民の森」(約410ha)を合わせた総合県民公園全体を考えると、560万m2(塩竈市の半分に相当、利府町の1/8に相当)にもなる。これほどの広大な立地は他にはない。
 さらには、機能的に結ばれた、体育館、プールなどなど。これらはワールドカップにおいてもプレスセンターなどになった。サブアリーナ、メインアリーナ、プールや多くの会議室は、防災中枢機能としての役割を発揮するに十分である。

4.知事など防災中枢からの指令・指揮系統が災害発生後あまり時間をおかずに立ち上げることができること

 これは言わずもがなのことである。県庁からヘリで10分程度。車で20〜25分程度のところに立地している。災害時、時間をおかずに立ち上げることが可能だ。なにせ仙台市に隣接し、直線距離で10km(実質14km)の至近でありながら、広大な県有地なのだ。

 結局、重大な災害時我々の生命財産を守る、防災中枢機能が、仮に崩れたら、その代替機能をグランディ・21に求めることは極めて自然と言える。上記のように既に多くの実績の積み重ねもある。
 今後は、グランディ・21敷地内に、災害時を想定した、緊急車両や緊急物品の確保や充実をはかる必要があろう。